催眠小説:【闇の現小説】一覧ページ
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http://aibox.blog.2nt.com/blog-entry-175.htmlロマネ・コンティ
かなり荒れた、オレンジがかった茶色。
やや"かび"っぽく、"はつかねずみ"のようだが、それがやがて消え、
とても燻香が出る――まるで、いぶした干しぶどうの香り
味わいにも非常にあぶったような風味がある――辛口、しかし非常に濃縮感。
"誘惑"のワインではなく、非常に"厳格"なワイン。
『ロマネ・コンティ』 リチャード・オルニー 著 山本博 訳より
その夜。店は大盛り上がりだった―
なにせ、中々でない希少酒であるロマネ・コンティが出たこともあるが、
智也はその酒を、店にいる全員に飲みたいものがいたら、飲ませたのである。
めったに手も出すこともできない酒のため、
本来は店に飾るかのように置いてあるお酒が、
今、目の前で飲めるとあっては、いるメンバーも浮世立つ。
一本250万するお酒だ。
逃すものはいなかった―
智也は、そんな中、気軽にみんなに飲ませながらも、
自分の分として注いだ、いっぱいのロマネ・コンティの味わいをじっくりと味わっていた―
―ちょうど、今の俺にはいいな・・―
美帆に言われて頼んだ酒だが、(頼むと同時に美帆は、喜びながらも真っ赤になっていたわけだが―)
最初の一件目の店で、既に数杯バランタインロックを開けて来た彼には、
ターキーの甘みよりも、この渋い味が意識を明確にさせ、
より意識を、研ぎ澄ますことができた。
適度に舌に滴らせるように含みながら、
智也は克司に渡されたであろう「今あたまの中にある情報」を
咀嚼していた。
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