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催眠小説:【闇の現小説】一覧ページ
http://aibox.blog.2nt.com/blog-entry-154.html

【闇の現小説】
前小説:http://aibox.blog.2nt.com/blog-entry-166.html



時は現代――


キー・・―

彼は昔よく来ていた店に訪れていた。
昔から或る古いドアは、軋む音を上げて、男を向かい入れる。
場所は、六本木。克司と会ったあのバーである。

向かい入れたバーは、狭いバーだった。
L字に緩く曲がったカウンターバーは、6人ほどしか座れない。
その奥には、小さなボックスが2つあるのみ。
それも、ゆとりがあるとは言い難かった。

「懐かしいな・・・」

男がその店に入るのは、かれこれ十数年ぶりだった。
何せ、克司と会うためだけに通っていた店だ。
彼がいなくなった時、店に来る理由もなくなっていた。
今彼は、どうしているのか?

「いらっしゃいませ おや・・あなたは。。」

マスターらしき男が、声を掛けてきた。
その顔には身を覚えがある。堀の深い顔に、小さな傷跡。
昔、客を守った際に付いたんだと聞いた傷跡が、今もあった。

「やぁ、マスター。覚えていてくれたかい?」

男は、昔、此処を常連にしていた男のように不適に笑い、話した。


「えぇ、あなたのことはよく覚えていますよ。どうぞ、こちらへ。」

カウンター奥から二つ目の席に案内され、そこに腰掛ける。
壁には懐かしい男の写真があった。
この席は、あの男と話をしていた際の特定席だった。


「懐かしいですね。飲み物は何になさいますか?」

―飲み物。   カラン―と、耳の奥で音がなった気がした。

「あいつと同じ、バランタィンの20年ロックで。」
「畏まりました。」


店の中を改めて、見渡す。
こんなに小さなつくりだったか?
あの時は、まだ酒も覚えたてで、行きつけの店もなかった。
この店に通うようになって、酒の味を覚えるようになっていったのだ。

カウンターの中には、各種銘柄が勢ぞろいしていた。
店が小さいだけに、あまり種類が置けないだろうと思うのに、
その数は、他の店にも負けじ劣らずと置かれており、
特に、ブランデー・スコッチなどの愛好家には人気がある店だった。

―『手軽に酔えるから、これでいい。笑』

そう言って、バランタインを嗜んでいた、過去の男を思い出す。
だが、いくら飲んでも酔っている様な様は見えなかった。
今思えば、酒の味もあいつに教えてもらったのかと、苦笑する。

色々振り返りながら・・・ 若いというのは恐れを知らないなと愚痴めいた。


「どうぞ。」
目の前には、昔懐かしいグラスに丸い氷がいれられた、琥珀色のグラスがひとつ。

・・・あ。・・・     カラン―


「―どうされましたか?」

暫く、グラスを見つめて固まっていたらしい自分を見つめて、
マスターが声を掛けてきた。

「あ、すまない。グラスを見たら懐かしくなってね。」
「そうでしたか。そういえば、克司さんも最初、同じ言葉を呟きましたね」
「最初?」

グラスに手を掛け、味わいながら問う。

「ええ、この店に始めていらっしゃった時のことですよ。
 そうそう、同じように、神妙な顔でグラスを暫く見つめてらっしゃっていて。笑」
「へぇ~・・・ あいつがねぇ・・・・」
神妙な顔をするようには見えないけどな。

「声をかけたら、同じような言葉を。笑 何か、思い出でもあったんでしょうかね。」
―思い出。

その言葉を聞くと同時に、一気にフラッシュバックのように、
何かの映像・様子・言葉・情報が男の頭の中を駆け巡った。

っ!・・・



カラン―



氷の音で、目が覚める―

そうだ・・俺は・・
これを「知る」為に、「ここ」に来たんだ・・・


「すいません、おつまみを忘れていました。こちらをどうぞ。」
「あぁ、ありがとう。」
手前に出された、小さなピーナッツ受けを見つめながら
男は答えた。



【闇の現小説】
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東京、六本木。
そこは、いろいろなもので溢れている。

六本木ヒルズや泉ガーデン、ビジネス街や高級マンション、そして大使館。
テレビ局などもあり、国際美術館もある中、夜は、多種多様な店に溢れ、
ブランドショップから、ホテル、ディスコ、クラブ、キャバクラなど
多くの人達の興味の尽きない場となっている。

男が、克司と呼ぶものとであったのもこの街であった。
彼はどうやら、この六本木を中心に動いているようなのだが、
どこか、得体の知れない人物だった。

その面持ち、時折見せる風貌、独特の雰囲気。。

何をやっているものなのか?
それが、最初、男が克司に興味を持ったきっかけだった。
そうやって、近づくうちに彼は言ったのだ。


―『欲しいものはあるか?』

欲しいもの? 
欲しいものなら山ほどある。
それがどうしたんだ。


―『もし、それらが思うように手に入ったらどうする?』

は? あるわけがない。
夢みたいなこと語るなよ。


―『夢ではない。知らない事実があるだけだ。お前が興味があるのなら、お前に全てを授けてやる。』

男は、自分の頭をコンコンと人差し指で叩きながら、
グラスのロックを空けて、言った。

・・・全てって? 
それを知ったら、何でも叶うのか?


―『そうだな。お前次第さ。どう使うか、伏せるのか。暴走させたら身の破滅だな(笑)』

俺次第。。
なら、聞いてみるだけ聞いてもいいぜ。
どうせ、ありえない話し出しな。


カラン― (氷の転がった音が響く)


―『笑。いいだろう。聞いているだけでお前はわかるだろうよ。』

そういうと、不適に男は笑った。
その様子に、ごくりと唾を飲む。


―『お前に全てを授けてやる。その代わり、何があってもこれを果たせ』

そういうと同時に、先程、空いたグラスを置いた手が、
知らぬ間に若い男の頭を掴み、片方の手は目を隠していた。


・・・!・・・

―『スーッと意識が落ちる・・・』

・・・あっ・・・
そういわれると、何か瞬間的に意識が抜けていくような気がした。


―『ほら・・落ちていく・・落ちていく・・落ちていく・・』
掴んだ頭を回しながら、男は耳元で澄んだ声で呟いた。


カラン― 

気づいた時には、若い男は、軽い夢の中に入っていた。


【闇の現(うつつ)小説】 の作品一覧です。

適当~に書けるときに書いています。
だんだん、記載の仕方・表現方法が変わって行っているかも^^;
上から下に、お話は進んでいます。順々に読んでいってください。
楽しんでいただければ幸いです。<(_ _)>


 ○最初のプロット(流れに任せ中で、今は変更いろいろあり)


 ・プロローグ

 ・序:それはあるカウンターから始まった

 ・始:過去のカウンター
 ・Ⅰ:過去のカウンター
 ・Ⅱ:過去のカウンター~『植えつけられた暗示』~
 ・序章 砦:過去の再来: ~『同士』~
 ・Ⅰ:過去の再来:『同士』~

記事書き直し予定です。

過去の内容は削除いたしました。

あしからず。


記事書き直し予定です。

過去の内容は削除いたしました。

あしからず。



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